【座編み店頭椅子[弁慶]の製作奮戦記】
昨夏、某所を旅した時備前焼の店先に何気なく置いてあった小さな腰掛に目が留まりました。一目惚れとはよく言ったものですネ。ここまで言えば勘の良い皆様には、ご想像のとおりです。製作意欲がフツフツと沸いてくるのが容易にご理解いただけると思います。
お店の方にお許しを頂いて写真撮影にも成功しました。
さて、帰宅してからが大変(第1回目)です。写真は撮ってきたものの概ね形が解かる程度で、ここはどうであったかナ、角度はどれくらいであったかさっぱり判断がつきません。これ位ならと甘く見ていたのが大間違いです。なかなかイメージピッタリのお気に入りの骨組みが出来ません。簡単な形のもの程ゴマカシが効かないのがよくわかります。
悪戦苦闘しながら、何とか「これでどうだ」と言ったものが完成しました。
次に2回目の大変がめぐって来ました。気が付いてみると、座面をロープで編む術(すべ)が全く解かりません。友人・知人に聞いても「見たことあるけど、どうやって編むんやろ」と。図書館に出向いて事情を話し調べてもらったが、「完成品の写真が出ているものはあるが、編み方を解説した本はないなー」とのこと。
しばらくブランクがあって、某日なにげなくインターネットを見ていると「あっ」。しっかりとあるじゃないですか!。座編み・ペーパーコードなどの言葉も初めて知りました。とりあえず編み方を食い入るように見て読んで。時が経つのも忘れて・・・。
よーし。解かった!!
椅子の骨組みを拭き漆仕上げで茶色に着色した関係もあって、ペーパーコードに替えて真っ白のビニロンロープ(4ミリ)にしました。
第3の大変。編み幅が10センチほど進んだところで、網目がまったく揃いません。ほどいて編みなおすこと3・4回。少し要領が解かってきました。
- やたらテンションをかけて強くしめ過ぎては引きつって来てよくない。
- 折り返しの箇所では1箇所毎にキチンときめてから次に進むこと。
最低限これだけ守れば何とか格好はつきます。
もう一つ。編んでみて気付くと思いますが、素手で作業すると多分小指の第1間接あたりに水泡のマメができます。それが厭な場合は軍手でもはきますが、作業性はウンと落ちますネ。
要所要所を釘で留めながら作業を進めて2日掛で6時間チョット。使ったロープは120メートルほどでした。
一目惚れもほどほどにしたいと考えましたが、網目が不揃いでも達成感は格別で満足しています。次回は座椅子に挑戦の予定です。もっときれいに、しっかりと編みます。
【追伸】
ところで、この店頭椅子「弁慶」の命名について一言。編み上がった椅子を前に、我が家に遊びに来ていた孫(小学2年生)に「この椅子に名前つけてくれんか?」と頼んだところ、しばらくして「弁慶」と一言。なるほどと思い、座編み店頭椅子「弁慶」と即決しました。
※)作品については作品ギャラリーをご覧ください。
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