【伐採ツアーに参加】
私達の住む家の材がどのように生まれているのか・・立木の伐採から製材までを見学・体験しますということで行って来ました。
午前8時、市内某所に集合、総勢13名(皆さん木が好きな人ばっかり)がマイクロバスに乗車。昨日までの雨がウソのような晴天に恵まれ、皆さんおおはしゃぎで8時30分出発。目指すは愛媛県上浮穴郡久万高原町・・・。
新居浜から西条にかかる頃から、心配していた空模様が怪しくなって来て、石鎚山も全く見えません。車内も静かになり、「この中に誰か雨男が居る・・」とヒソヒソ話も聞こえる始末。桜三里を超えて松山市に入る頃には雨から雪になっていました。
三坂峠をユルユルと下って久万高原町の久万造林へ到着したときには、まわりはすっかり雪景色に変わってしまいました。事務所の二階で昼食をいただきながら、久万造林の井部社長から今の森の様子とか、伐採の時期とか木の種類などの説明がありました。また同行した関連会社、久万銘木の中井さんから新月伐採の話を聞きました。
【新月伐採】
私達の建てる家の木材は、森の木を必要な時にいつでも伐れるわけではありません。「伐採に適した時期がある」というのです。
11月から2月頃(諸説あり)の下弦の月から新月に至る約30日がいわゆる「伐り旬」という伐採の時期であり、この時期に伐採された木は、
- カビにくい
- 割れにくい
- 狂いにくい
とされ、その上とても丈夫で最上級の品質の木材が得られると言われています。
【長期間の葉枯らし】
”葉枯らし”とは、伐採した木を枝葉をつけた状態で山に倒したまま、3~4ヵ月間乾燥させる手法のことを言います。これにより、木全体の水分を均一化し、製材後の反りやねじれが減少するばかりか、色ツヤも良くなるそうです。
※久万造林の井部社長は数年前からこの"新月伐採"にこだわりをお持ちのようです。
さて、いよいよ森へ入り、伐採現場に向かいます。雪は相変わらず降り続いています。
杉林は間伐も行き届いて、下草も適当に生えておりました。(聞く所によると間伐不良の杉林は下草も生えてこないそうです)お天気がよければ太陽光が斜めに差し込み、一幅の絵を想像できることでしょう。
【樹齢60年程で伐る理由】
木は二酸化炭素(Co2)を取り込み、酸素(O)を出す光合成を行うのも営みの一つとしています。
光合成は木が幼年期には活発ですが、老木になると成長も遅くなり、その分光合成も鈍くなります。その為、樹齢50年~60年くらいの成長が最も盛んな頃に伐採を行うと、光合成を効率よく行わせることにもなるようです。さらに、樹齢60年程の成長の最も盛んな頃に伐採された木からは、芯持ちの理想的且つ、上等上質な建築材が得られるようです。
また、樹齢50年~60年に伐採し、そして植林を繰り返すことは、日本の山の荒廃を防止し、地球環境(水源涵養や光合成などを行って地球温暖化の防止)の向上等、色々な面でよいと言われているようです。
マイナスイオンいっぱいの空気の中、伐採する木の説明を皆真剣に聞いていると、チェーンソーの音が森の静寂に響き渡ります。
木の根元を三分の二程(もっとかな?)切り、楔を木槌で打ち込んでいくと、大木は見事に地響きを立てて倒れて行きます。高さ30mを超える樹齢60年程の杉が見事に思った方向に倒れて行くのをみて、皆もの凄いと関心するやら、拍手するやら・・
伐った木を山側に倒すか、谷川に倒すかは葉枯らしや地形、自然乾燥、運び出しなどでメリットデメリットそれぞれ諸説があるようです。
更に、伐った株に伐られた木の元を乗せる方法。つまり伐られた木がもと自分の切株を枕に葉枯らし状態に入る姿をみて、二度関心することしきり。
続いて製材所に場所を移して、直径80cmもある杉材が大型製材加工機で思う木材に加工されていく工程を見て、皆さん大口をアングリ!!
心地よい疲れが出た頃、井部社長は私達を近くにある、久万美術館へ案内してくれました。
【久万美術館】
久万出身の実業家、故井部栄治(いべ よしはる)氏(現井部社長の曽祖父)が収集したコレクションの寄贈を受けた久万高原町がこれを収蔵展示することを主目的に、昭和63年に建設、平成元年に開館されました。
地元産の杉・桧をふんだんに用いた木造建築(ちなみに久万高原町にある小学校・中学校はすべて木造建築だそうです)の美術館で、展示室には樹齢80年を超える杉の磨き丸太柱が並び、桧の太い梁とともに屋根を支えているということです。
日本の近代洋画、近世~近代の郷土の書画・陶磁器等の館長の説明を聞きながら、皆さん少し芸術に目覚めたか?
そして、雪の久万高原町をあとにしました。
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